猫のあれこれ

動物を治療するにあたって、

動物の種類だけでなく、品種も意識することはとても大切です。

なぜならその品種に特異的に発生する病気や、

その品種に特に起こりやすい病気と言うものが

あるからです。

犬はゴールデンレトリーバーやチワワといった感じに

たくさんの種類がありますね。

でも猫では種類の定義が犬ほどしっかりありません。

 

猫の品種を登録している団体が複数あり、

それぞれの定義で、それぞれの品種登録をおこなっています。

例えば

CFAThe Cat. Fanciers’Association」と

TICAThe International cat Association

の二つの団体があります。

それぞれの認めた猫の品種の数は

CFA40種類程度、

TICA80種類程度

の登録があります。

こんなにも差があります。

 

例えばエキゾチックという種類についてみると

エキゾチックショートヘアーという種類に関しては

CFATICAも品種として登録がありますが、

エキゾチックロングヘアに関しては

CFAにしか登録がありません。

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https://www.min-nekozukan.com/groupIndex.php 『みんなの猫図鑑』

 

猫の品種というのは

思っていたよりもアバウトなものということが

お分かりいただけたかと思います。

甲状腺機能亢進症3

甲状腺ホルモンは代謝を調節する機能を持ち、

細胞の新陳代謝を高めたり、

脂肪などからエネルギーを産生します。

なので高齢の猫ちゃんでも

とてもテンションが高く活発で、

食欲がもりもりあるように見えるので飼い主からは喜ばれることがあります。

でもこれは甲状腺機能亢進症の特徴の一つです。

ポイントは「元気や食欲があるのに痩せてくる」です。

 

さてこの甲状腺ホルモンは

心臓にも働きを活発にするので心拍数を上昇させたり、

血圧を上げる役目も担っています。

それゆえに慢性腎臓病を隠してしまうことがあります。

腎臓病は腎臓への血流が減り、

それによって体の老廃物を排出機能が落ちる病気ですが、

甲状腺ホルモンのせいで、

一見その現象が起きていないように見えてしまうのです。

ゆえに、甲状腺機能亢進症が発見された時は

腎臓の血液検査は正常のに、

治療を開始した途端に腎臓の数値が上昇していくので、

驚かれることがあります。

 

愛猫の甲状腺機能亢進症の発見が遅れてしまい、

長い間に体を蝕んでいた場合、

その子の体は慢性的な高血圧の状態になります。

長期間の高血圧は心臓に影響を及ぼし、

その結果、肥大型心筋症という心臓病を発症してしまいます。

肥大型心筋症は心臓の筋肉が肥大することで心臓の動き鈍くなり、

血液を全身に送ることができなくなります。

そうなると胸や肺に水が溜まり、

呼吸困難(胸水、肺水腫)を引き起こす恐ろしい病気です。

 

大切なのは

早い発見によるコントロールや治療です。

そのためには定期的な健康診断(甲状腺の検査)と

「元気でよくたべるけどや痩せる」といった

「ちょっとした異変」に気づき病院を受診することです。

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甲状腺機能亢進症2

甲状腺機能亢進症と診断されて,

軽症である場合又は,まず初めに行われる方法としては

1番の内科療法と2番の食事療法が一般的です。

1、の薬でも「メルカゾール」という薬が多いのではないかと思っています。

これにはチアマゾールという成分が含まれてます。

体内で甲状腺ホルモンを作る過程を阻害する作用があります。

飲み始めたら

定期的に体内の甲状腺ホルモンの量を調べル必要があります。

しっかり薬が効いているのか、

薬の量が十分なのかを、

二週間に一回程度、血液検査で調べます。

安定したら数ヶ月に一回の検診に切り替わりますが、

安定するまでは薬の調節が必要になります。

 

又副作用として

・食欲不振、嘔吐、えづき

・激しい掻痒

・骨髄抑制(貧血、免疫力低下など)

・嗜眠傾向(いつもよりよく寝ている)

 

 

食事療法は

甲状腺ホルモンの材料となる

ヨウ素を少なくした食事のことです。

食事療法に関しては、症

状が軽い子や個体差で効果が出ると言われています。

特に薬との併用でより効果が出やすいとされていますので、

併用をお薦めされることも多いかと思います。

しかし

この病気は高齢猫に多いということもあり、

腎臓病と甲状腺機能亢進症の二つの病気を抱えることも

少なくありません。

その場合は腎臓病食をメーンで

勧められることでしょう。

ですので、甲状腺機能亢進症ケアのご飯を

食べ続けている猫は少ない印象です。

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甲状腺機能亢進症1

猫の内分泌疾患(ホルモン)に関わる病気で,

最も多い病気が甲状腺機能亢進症といわれています。

 

中高年,9歳位以上猫に多く,

オスメスの差はありません。

 

人ではバセドウ病で有名ですね。

 

症状は多彩で,これと行って大きな特徴はありません。

体重減少

多食

多飲,多尿

活動量の増加

嘔吐

上記が起こることが多いですが,

必ずではありません。

少数ですが,

呼吸が荒くなったり,

下痢,

食欲が落ちる

こともあります。

甲状腺機能亢進症!と症状から得られる特徴は

特にありません。

体重減少や活動量の低下は

歳を取ったから,と勘違いしてししまう場合や,

多飲多尿は慢性腎臓病と同じ症状なので

甲状腺機能亢進症が気づかれないこともあります。

 

ですので,

ある程度歳を取ったら

健康診断で

甲状腺機能亢進症の検査しませんか」

と提案されることも多いと思います。

 

下痢の症状で来院した場合,

猫であれば,年齢が中高齢なら

甲状腺機能亢進症の検査をすることは

間違っていません。

(初回の下痢でいきなり甲状腺の検査,ということはないと思いますが。)

 

診断は

1主訴

2身体診察

3そして血液検査(T4TSH)の評価

で決まるのです。

 

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動物愛護法の改正〜令和の新基準〜3

動物愛護法の中には動物をみだりに殺したり,

傷つけた場合に適合する法律は前からありました。

動物愛護法441項「愛護動物殺傷罪」と言います。

 

しかし罰則が軽すぎる!と言われていました。

そんな意見を反映してか改訂されました。

 

旧「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」

改訂「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」

 

さて改訂してよかったよかった,

とはなかなかならず,

やはり甘い!

という声はまだおおいです。

 

なぜかというと

同じことを人の子供にすると,

殺人罪」や「傷害罪」の適用になります。

殺人罪

「死刑もしくは無期もしくは5年以上の懲役」

傷害罪は

15年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」

です。

 

動物と人,同等とはいきませんが,

ペットと人との距離が非常に近く,

家族や自分の子供同然の方も多い。

ゆえに

やはり上記の差は大きく感じてしまうのではないでしょうか。

ましてや当事者となれば尚のことでしょう。

 

ちなみに

刑法261条,器物損壊罪(動物傷害罪)になると

3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料

動物をものとしての適応になると,

とても軽く見えますね。

 

ちなみに

獣医師が,動物の虐待を受けたと思われる動物を発見したり,

みだりに殺されたと思われる動物の死体を見つけたときには,

都道府県知事に通報をすることが義務化されました。

罰則はありませんが,

以前は,

もしもの時は「よかったら(頑張って)教えてね」

という「努力義務」から

見つけたら「必ず教えてね」という

「義務」

になりました。

 

業務上知りえた情報ということ

相手が顧客であること

話ができない動物であることなど,

怪しくてもなかなか通報することは

難しいのが現状です。

義務化したのは第一歩ですが,

日本における

愛護動物に対する考え方が飼い主の「もの」に近い限り,

なかなか難しいと言わざるおえないと思います。

 

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動物愛護法の改正~令和の新基準~2

動物園の動物たちだけでなく,

ブリーダーやペットショップの動物たち,

そこにいる動物たちは

年に一度獣医師に見せて状態をチェックしてもらいましょうね

というものや

 

動物カフェやペットショップ,動物園など,

動物を展示販売に関わる業種に対して,

人の目に触れる時間が制限がしっかりあるのを知っていますか?

今回の改正で,

連続して動物を展示できる時間がMAX6時間になりました。

そして犬猫の展示は朝8時から夜の20時までとなりました。

ですので,6時間未満でも深夜のペットの展示販売はできません。

ペットショップにずっと展示されている犬や猫がいます。

あの犬も猫も

一日6時間超えてショーウィンドウの中にいてはいけません。

(細かい制約や例外はあります)

 

繁殖に関して

メスを子供を生ませることに関してルールができました。

1匹の個体が一生のうちに出産させることのできる回数が6回まで(犬),

交配できる年齢が6歳までとなりました(犬猫)。

犬や猫はもちろん6歳以上も子供を産もうと思えば産めます。

しかし過度な交配をしている犬猫に負担をかけているブリーダーも中にはいます。

それを取り締まるための内容になっています。

獣医師は出生証明書の発行もしますが,

動物の繁殖ができるかどうかの有無を含め,

しっかり管理する義務があります。

 

また信じられないことに,

出産に関する手術,お腹を開けて子供を取り出す手術を

帝王切開といい,

獣医師でない人がしていることが,

めずらしくないくらいにあるそうです。

帝王切開は獣医師以外はやってはいけません。

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動物愛護法の改正~令和の新基準~1

この法律は動物の管理と飼育,保護に関する決まりに関するものです。

動物に関わる仕事などをしてない方には

あまり縁がない法律と思われるかもしれません。

 

ここでは,動物が好きな皆様に関係がありそう,

知っておいていただきたい,

今回改正されたポイントをまとめました。

 

今回の改正の大きなポイントの一つは

動物取扱業に関する規制強化です。

動物取扱業に関わる職種は,

ブリーダー,ペットショップ,ペットシッターペットホテル,動物カフェ,動物園などですね。

ちなみに動物病院は含まれません。

病院が健康な動物を預かる,ホテルのサービスを始める場合は

取扱業としての申請が必要になります。

 

その動物取扱業に関して,

動物を飼育やホテルとして預かるための施設に関する

設備に関しての約束事が変わりました。

ざっくりいうと,

動物を管理する場所は適当な広さの確保し,

換気や日照管理をしっかりしましょう,

という内容です。

えっ今更?思われるかもしれません。

動物に関しては,そのようなことがたくさんあります。

そしてこの後も続くと思います。

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