細菌性膀胱炎3
抗生剤を飲んで治療効果があれば,
その抗生剤は当たりです。
つまり
血尿が減った,なくなった,
頻尿の回数が減った,なくなった
といった
病院をいくキッカケになった症状の改善が,
薬を飲み始めて2ー3日で見えてきたら,
その薬は原因菌に効果があったということになります。
薬を飲み始めて2−3日で
その薬が合っているか判断することができます。
もしこの時
何の改善も見られない,
または鈍い改善しか見られない場合は
抗菌剤を変える必要があるかもしれません。
細菌がいる膀胱炎と診断されたら,
2,3日後に再来院をお願いしたり,
ご様子伺う連絡をするのはこの為です。
症状がなくなったら
薬をやめる,という方が
時々いらっしゃいます。
症状がなくなったからといって
菌が完全に消えたわけではありません。
しっかり原因菌を叩くためには
抗生剤を2−3週間飲む必要がある
と言われています。
「自分に合った薬を2−3週間飲む」必要があることを
覚えていただければとおもいます。
薬のストップは
獣医さんに相談してから
行っていただけたらと思います。
人間と同じよう,尿の量が多いことは
膀胱炎の予防,治療になります。
細菌が膀胱に止まることを
防ぐ意味で
できるだけ口で水を摂取することは
有効です。
細菌性膀胱炎2
尿に細菌がいた場合,細菌性膀胱炎となります。
もちろん,細菌と結石が同時に存在する場合もあります。
細菌に関して,治療方法は抗生剤を飲むことです。
飲んだら安心,というわけではありません。
ちゃんと薬が菌に対して効果があるかを確かめるまで油断できません。
抗生剤はいろいろな特徴があります。
薬の強弱やどの菌に対して得意,どこどの部位によく効果がある,
それぞれの特徴を把握して処方します。
もし菌が特定できてなければ(*1),
膀胱炎になって初めて処方される
抗生剤の選定基準として,
いろいろな菌に幅広く影響を与える薬を
選ぶと思います。
同時にその時取れた尿を
細菌培養検査と抗菌薬感受性検査を行うことが多いです。
つまり
尿の中にいる菌の特定と,
その菌がいろいろある抗生剤に対して抵抗があるのか弱いのか,
外の機関に依頼し検査します。
それによって初めて菌が特定できます。
それが分かれば最適な抗生剤を選び処方することが可能です(*1)。
初めから最適な抗生剤を処方できればいいのですが,
この結果を得るには1週間程度くらいかかるのが普通です。
ですので,とりあえず,広く効果のある薬を
まず初めに出して様子を見るのが
治療のスタンダードな手法となっています。
細菌性膀胱炎1
以前,猫の膀胱炎を紹介した時に
「特発性膀胱炎」について述べました。
猫の膀胱炎は圧倒的に特発性膀胱炎が多いことも書きました。
私事ですが,なぜか最近の診察では
細菌が検出されることも多いなぁと。
特発性膀胱炎は原因がよくわからない膀胱炎とのべました。
つまり,結石や細菌が検出されなければ
それに当てはまります。
診断するためには尿検査が必須です。
そのおしっこをできるだけ綺麗な状態で採取してこなければなりません。
仮に自然に排尿し地面に落ちた尿を取ってきて
顕微鏡で見た時に,細菌がいたとします。
それは尿にいた菌なのか,床にいた菌なのか
わからないですよね。
ですので,
膀胱に針を刺して尿を吸い出す「膀胱穿刺」か
前者より精度は落ちますが,
カテーテルという管をお尻の穴から尿道〜膀胱まで通して尿をとってくる方法「尿道カテーテル」を使います。
続く
難産5
難産と診断された場合,
治療法を決める一つのポイントは
胎児の心拍数です。
心拍数がある程度安定していれば(200回/分程度),
薬などを使った内科処置を試す余裕がありますが,
胎児の心拍が低いと胎児が弱っている指標であり,
一刻の猶予もありませんので,
帝王切開という緊急手術になることが多いです。
もし胎児が元気で,かつ
姿勢や大きさの問題で出産が妨げられていないのであれば,
内科的治療を試みます。
陣痛が弱かったり,子宮無気力症という子宮が胎児を押し出す力がない場合が多いです。
フェザーリングという方法は,
産道に指を入れて刺激します。
これは陣痛を促すホルモンの分泌を促すことができます。
このホルモンをオキシトシンと言います。
このオキシトシンを注射で投与する方法もあります。
母体は低カルシウム血症になっていると言いました。
オキシトシンの分泌にカルシウムが関わっています。
ですので,注射によってカルシウムが投与されることで
分娩を促す治療法もあります。
このようにお腹を開かず内科的に治療する方法で分娩できる確率は
20〜30%と言われています。
これでダメなら外科的手法に進みます。
難産4
正常な分娩から外れた時,
動物病院に運ばれます。
病院では,超音波(エコー)検査で胎児の状態を把握します。
具体的には心臓の動きを見ます。
正常で元気な胎児なら心臓の動き(心拍数)は200回以上です。
この状態であれば余裕があるのですが,
150回程度を下回る場合は,
すぐに胎児を取り上げる必要が出てきます。
心拍数が130回を下回る場合は
胎児の無事もかなり危ぶまれている状況と考えます。
加えて
Xray(レントゲン)にて
胎児の位置や体勢,大きさに問題がないか把握します。
胎児と母体が元気でも,
物理的に胎児が骨盤の穴を通れる状況でない場合は,
即座に帝王切開に切り替えます。
母体は分娩時に
脱水,低血糖,低カルシウム血症になることが
多いです。
それが原因で正常な分娩が妨げられていることもあります。
ですので病院では,
血液検査でそれを把握すると主に,
点滴でカルシウムや糖を補給します。
難産の原因は
母体側75%,胎児側25%と言われています。
薬などお腹を開かず解決できるのは
25〜30%程度なので,
難産になると
7,8割は外科的な処置は必要になるということです。
難産3
難産の原因
難産の原因は母体,胎児と共に可能性があります。
・赤ちゃんが大きすぎる
赤ちゃんの数が1-2頭と少ないと、
一頭の大きさが大きいために、
難産の可能性が高くなります。
特に頭が大きすぎると,骨盤の穴を通れず,
外に出ることが物理的に難しくなります。
・陣痛の遅れ,子宮が十分に収縮できない
母体の栄養状態やホルモン分泌が関係してきます。
・胎児に姿勢が悪い
胎児の上下だけでなく,
胎児の姿勢も悪いと難産の原因になります。
・すでにお腹の中で死亡してしまっている
などがあります。
この他にも、一部の猫種は難産の確率が高かったり、
お母さんが太りすぎ、痩せすぎ、
運動不足、高齢、初産、神経質なども
難産のリスクが高くなります。
難産2
もし、
愛猫に妊娠した可能性がある場合どうしたら良いでしょう?
まず、とりあえず動物病院を受診しましょう。
動物病院では触って妊娠しているかどうかを診断します(触診)。
触診は交配後20日頃から可能となるので、
その時期を目安に受診するとよいでしょう。
超音波検査では、胎子の心臓の動きをチェックします(交配後19日頃~).
レントゲン検査では、胎子数を正確に診断することができます(交配後50日頃~).
分娩まで定期的に病院を受診し、胎児が正常に成長しているか、母体に健やかかをチェックしてもらいましょう.
妊娠期間中の猫の状態の変化の特徴を説明します。
妊娠20日頃
乳首がピンク色になり、張りがみられるようになります。
1週間程度、食欲が落ちることもあります。
妊娠30日頃
お腹や乳房が大きく膨らみ、見た目が大きく変化します。
妊娠40日頃
活動量の減少し食欲が増し、体重も増える時期です。
攻撃的になる場合もあります。
妊娠50日頃
お腹の中にいる子猫たちが活発になり、
胎動を感じ始められる時期となります。
妊娠60日頃
いよいよ出産が近いです。