難産

難産とは、

異常分娩のうち、外からのの介助がないと分娩が困難または不可能な状態を

難産と言います.

獣医領の中では、緊急を要するものの一つで、

適切に素早い対処をしないと母子共に命に関わる救急疾患です.

 

まず正常な分娩の基礎知識から

猫の妊娠期間は

63日前後です.

一回の分娩で1−8頭程度生まれます.

早産と言われるのは妊娠期間58日以前に生まれた場合です.

予定より5日程度(妊娠期間58日)であれば、

生存率に影響はそれほどありません.

1週間以上早いと(妊娠期間〜55日)だと

生きられる確率は極端に低下します.

 

全て順調に妊娠、出産できればいいのですが、

何か異常がある場合(後述;難産の原因)は

対処のタイミングが非常に大切です.

 

早すぎる帝王切開は、

・未熟児が生まれるリスクが高い

胎盤が剥がれにくく、出血リスクが高い

・母乳が出ないため新生児が育てない

逆に遅すぎる分娩のリスクは

・胎児死亡の可能性がかなり上がること

・母体の負荷が大きく、命の危険性が高まる

 

ですので

飼い主はよく観察し、

異常を感じたらすぐに病院に相談する

判断力が必要となります.

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発作(痙攣発作)5

では痙攣発作の治療方法の話をします。

 

脳の構造に異常があった場合や

脳以外に異常があった場合は、

その原因に対する治療を行います。

 

例えば頭蓋内に原因があった場合、

脳腫瘍であれば摘出手術・化学療法剤・放射線治療などを検討するでしょう。
脳炎であれば抗生物質ステロイド剤や免疫抑制剤を使って原因を治しつつ、

抗痙攣薬・脳圧降下剤を使って痙攣発作を起こしにくくします。

つまり薬(内科療法)を使うでしょう。

血液の異常による痙攣発作の場合、

異常を補正しつつ、

原因の特定、治療を行います。

 

では、脳の興奮が原因となる

特発性てんかんはどうでしょう。

原因がわからないてんかん発作は、

発作を根本的に直すことはできません。

ですので、

発作そのものを抑えるための、

てんかん薬を飲み続ける

内科療法が主体となります。

 

まとめると

特発性てんかんの場合は、

根本的治療は現在の医学には存在せず、

薬で発作を抑えるという

対症的治療が中心となります。

 

それ以外の痙攣発作は

可能不可能はありますが、

原因がありますので、

それに対するアプローチが

治療の基本となります。

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発作(痙攣発作)4

ではまず痙攣の原因、診断の手順や考え方をご紹介します。

 

先に述べたように痙攣の原因は大きく分けて

脳炎、脳腫瘍といった脳に関する疾患と

心疾患や低血糖電解質異常、高アンモニウム血症など

脳以外の疾患です。

 

脳の原因を特定のためには

MRI検査や脳脊髄液検査が必要です。

普通の病院にある検査方法では

診断することはほとんどできません。

原因が見つけられない「特発性」てんかん発作は

若齢の犬やヒトでは一般的ですが、

猫では脳の構造に異常多いため、

原因特定のために

MRI検査や脳脊髄液検査を勧められることが多いです。

 

脳ではなく全身状態の異常を見つけるために

血液検査をはじめとした院内でできる検査で

原因を調べることができます。

 

脳の原因を特定するためには

特殊な機材(特定の場所への移動や金銭負担など)と

猫への負担(全身麻酔など)、

大きな負担がかかります。

ですので

まずは猫に負担のない、

手軽な血液検査などから行い、

脳以外の異常がないか確認しながら

原因を調べることが

スタンダードな方針だと言えます。

 

続く

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発作(痙攣発作)3

てんかんの発作に関していえば

発作の前に、前兆のようなことが

起こることもあります。

発作をおこす前直前に、

なんとなく挙動不審な行動、たとえば目的なさそうにふらふら歩いたりします。

また、過剰にグルーミングをするなど

徴候が見られる場合もあります。

基本的に突然発作は起こることの方が多いです。

前兆が見られたとしても、

気づいた時には発作に移行しているっといたように、

前兆が起きている時間はそれほど長くありません。

 

運動をしていて興奮した時、

ストレスを受けて緊張した時、

雷などの光や音の刺激を受けた時、

気圧の変化などがきっかけで発作が誘発される場合もあります。

今の時期(10月)は季節の変わり目、しかも台風が多い時期ですので

発作のきっかけになりやすい時期とも言えます。

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発作(痙攣発作)2

「発作」といっても、さまざまな様相があります。

 

全身がけいれんするタイプ(全般てんかん発作)。

突然意識を失って倒れ、身体全身をのけぞらして突っ張ります。

手足をバタバタさせたり、家中を狂ったように走りまわる行動が

見られることもあります。

 

身体の一部がけいれんするタイプ(焦点性てんかん発作)。

顔面のけいれん、瞳孔散大(黒眼が丸く大きくなった状態)、

よだれ、攻撃的な行動、一部の手足のけいれん等

さまざまです。

 

猫のてんかんで多い発作のタイプは、

まず片側の顔のけいれんと口をくちゃくちゃさせながら、よだれを垂らし、

そこから全身のけいれんに移行します。

1度見て、発作だとわかる場合もあれば

気づくのが難しい症状もあるため、

通常と異なる行動や動作が猫にみられた場合は、

とりあえず動画に記録して動物病院で確認してもらうと良いでしょう。

発作が起こっている時間も重要な情報ですので、時間の記録も大切です。

 

続く

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発作(痙攣発作)

発作、といえば、

てんかんを思い浮かぶ方が多いと思います。

てんかんが原因で起こる発作を

てんかん発作」と言いますが、

発作が全ててんかんが原因とは限りません。

 

発作の原因は大きく分けると以下の三つに分かれます。

 

・症候性てんかん(頭蓋内疾患)

・頭蓋外疾患

・特発性てんかん

 

症候性てんかん、頭蓋内疾患、つまり

脳とその周りの頭蓋の異変、

頭の中の異常がある発作

です。

具体的には、脳炎、脳腫瘍、脳出血脳梗塞、外傷等が当てはまります。

 

頭蓋外疾患は

頭の異常以外が原因で発作を起こす疾患です。

具体的には心疾患や代謝性疾患(低血糖電解質異常、高アンモニウム血症、高窒素血症など)が当てはまります。

 

特発性てんかんとは、

上記のような明らかな原因が見つからない発作で、

原因不明の発作といえます。

背景に遺伝的な神経異常の可能性もあります。

 

まとめると、

てんかん発作(頭蓋内)かそれ以外(頭蓋外)の発作に分けられ、

てんかん発作は症候性(原因が特定できる)と特発性(原因が特定できない)ものに

分けられる。

 

続く

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大動脈血栓塞栓症5

治療の柱は大きく分けて3本です。

血栓に対する管理

②痛みの管理

③背景となっている病気の管理、全身状態の管理

 

猫の状態や既存の病気などを考慮しますので、

必ずこの治療の柱がマストではありませんが、

基本はこの3つが治療の柱になります。

 

血栓を溶かしたり、血栓をできにくくするような管理をします。

血栓症は大変強い痛みをもたらす病気なので、

絶えずペインコントロールをしていく必要があります。

③大動脈血栓塞栓症が起こった時に、

うっ血性心不全(心疾患を原因として)を起こしていることが多いです。

うっ血性心不全は心臓の機能が落ちる病気です。

そのせいで肺に水が溜まったり、

不整脈が起こっていたりします。

各々対処します。

 

続く

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