甲状腺機能亢進症1

猫の内分泌疾患(ホルモン)に関わる病気で,

最も多い病気が甲状腺機能亢進症といわれています。

 

中高年,9歳位以上猫に多く,

オスメスの差はありません。

 

人ではバセドウ病で有名ですね。

 

症状は多彩で,これと行って大きな特徴はありません。

体重減少

多食

多飲,多尿

活動量の増加

嘔吐

上記が起こることが多いですが,

必ずではありません。

少数ですが,

呼吸が荒くなったり,

下痢,

食欲が落ちる

こともあります。

甲状腺機能亢進症!と症状から得られる特徴は

特にありません。

体重減少や活動量の低下は

歳を取ったから,と勘違いしてししまう場合や,

多飲多尿は慢性腎臓病と同じ症状なので

甲状腺機能亢進症が気づかれないこともあります。

 

ですので,

ある程度歳を取ったら

健康診断で

甲状腺機能亢進症の検査しませんか」

と提案されることも多いと思います。

 

下痢の症状で来院した場合,

猫であれば,年齢が中高齢なら

甲状腺機能亢進症の検査をすることは

間違っていません。

(初回の下痢でいきなり甲状腺の検査,ということはないと思いますが。)

 

診断は

1主訴

2身体診察

3そして血液検査(T4TSH)の評価

で決まるのです。

 

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動物愛護法の改正〜令和の新基準〜3

動物愛護法の中には動物をみだりに殺したり,

傷つけた場合に適合する法律は前からありました。

動物愛護法441項「愛護動物殺傷罪」と言います。

 

しかし罰則が軽すぎる!と言われていました。

そんな意見を反映してか改訂されました。

 

旧「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」

改訂「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」

 

さて改訂してよかったよかった,

とはなかなかならず,

やはり甘い!

という声はまだおおいです。

 

なぜかというと

同じことを人の子供にすると,

殺人罪」や「傷害罪」の適用になります。

殺人罪

「死刑もしくは無期もしくは5年以上の懲役」

傷害罪は

15年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」

です。

 

動物と人,同等とはいきませんが,

ペットと人との距離が非常に近く,

家族や自分の子供同然の方も多い。

ゆえに

やはり上記の差は大きく感じてしまうのではないでしょうか。

ましてや当事者となれば尚のことでしょう。

 

ちなみに

刑法261条,器物損壊罪(動物傷害罪)になると

3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料

動物をものとしての適応になると,

とても軽く見えますね。

 

ちなみに

獣医師が,動物の虐待を受けたと思われる動物を発見したり,

みだりに殺されたと思われる動物の死体を見つけたときには,

都道府県知事に通報をすることが義務化されました。

罰則はありませんが,

以前は,

もしもの時は「よかったら(頑張って)教えてね」

という「努力義務」から

見つけたら「必ず教えてね」という

「義務」

になりました。

 

業務上知りえた情報ということ

相手が顧客であること

話ができない動物であることなど,

怪しくてもなかなか通報することは

難しいのが現状です。

義務化したのは第一歩ですが,

日本における

愛護動物に対する考え方が飼い主の「もの」に近い限り,

なかなか難しいと言わざるおえないと思います。

 

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動物愛護法の改正~令和の新基準~2

動物園の動物たちだけでなく,

ブリーダーやペットショップの動物たち,

そこにいる動物たちは

年に一度獣医師に見せて状態をチェックしてもらいましょうね

というものや

 

動物カフェやペットショップ,動物園など,

動物を展示販売に関わる業種に対して,

人の目に触れる時間が制限がしっかりあるのを知っていますか?

今回の改正で,

連続して動物を展示できる時間がMAX6時間になりました。

そして犬猫の展示は朝8時から夜の20時までとなりました。

ですので,6時間未満でも深夜のペットの展示販売はできません。

ペットショップにずっと展示されている犬や猫がいます。

あの犬も猫も

一日6時間超えてショーウィンドウの中にいてはいけません。

(細かい制約や例外はあります)

 

繁殖に関して

メスを子供を生ませることに関してルールができました。

1匹の個体が一生のうちに出産させることのできる回数が6回まで(犬),

交配できる年齢が6歳までとなりました(犬猫)。

犬や猫はもちろん6歳以上も子供を産もうと思えば産めます。

しかし過度な交配をしている犬猫に負担をかけているブリーダーも中にはいます。

それを取り締まるための内容になっています。

獣医師は出生証明書の発行もしますが,

動物の繁殖ができるかどうかの有無を含め,

しっかり管理する義務があります。

 

また信じられないことに,

出産に関する手術,お腹を開けて子供を取り出す手術を

帝王切開といい,

獣医師でない人がしていることが,

めずらしくないくらいにあるそうです。

帝王切開は獣医師以外はやってはいけません。

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動物愛護法の改正~令和の新基準~1

この法律は動物の管理と飼育,保護に関する決まりに関するものです。

動物に関わる仕事などをしてない方には

あまり縁がない法律と思われるかもしれません。

 

ここでは,動物が好きな皆様に関係がありそう,

知っておいていただきたい,

今回改正されたポイントをまとめました。

 

今回の改正の大きなポイントの一つは

動物取扱業に関する規制強化です。

動物取扱業に関わる職種は,

ブリーダー,ペットショップ,ペットシッターペットホテル,動物カフェ,動物園などですね。

ちなみに動物病院は含まれません。

病院が健康な動物を預かる,ホテルのサービスを始める場合は

取扱業としての申請が必要になります。

 

その動物取扱業に関して,

動物を飼育やホテルとして預かるための施設に関する

設備に関しての約束事が変わりました。

ざっくりいうと,

動物を管理する場所は適当な広さの確保し,

換気や日照管理をしっかりしましょう,

という内容です。

えっ今更?思われるかもしれません。

動物に関しては,そのようなことがたくさんあります。

そしてこの後も続くと思います。

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細菌性膀胱炎3

抗生剤を飲んで治療効果があれば,

その抗生剤は当たりです。

つまり

血尿が減った,なくなった,

頻尿の回数が減った,なくなった

といった

病院をいくキッカケになった症状の改善が,

薬を飲み始めて23日で見えてきたら,

その薬は原因菌に効果があったということになります。

薬を飲み始めて2−3日で

その薬が合っているか判断することができます。

もしこの時

何の改善も見られない,

または鈍い改善しか見られない場合は

抗菌剤を変える必要があるかもしれません。

細菌がいる膀胱炎と診断されたら,

23日後に再来院をお願いしたり,

ご様子伺う連絡をするのはこの為です。

 

症状がなくなったら

薬をやめる,という方が

時々いらっしゃいます。

症状がなくなったからといって

菌が完全に消えたわけではありません。

しっかり原因菌を叩くためには

抗生剤を2−3週間飲む必要がある

と言われています。

「自分に合った薬を2−3週間飲む」必要があることを

覚えていただければとおもいます。

薬のストップは

獣医さんに相談してから

行っていただけたらと思います。

 

人間と同じよう,尿の量が多いことは

膀胱炎の予防,治療になります。

細菌が膀胱に止まることを

防ぐ意味で

できるだけ口で水を摂取することは

有効です。

 

 

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細菌性膀胱炎2

尿に細菌がいた場合,細菌性膀胱炎となります。

もちろん,細菌と結石が同時に存在する場合もあります。

 

細菌に関して,治療方法は抗生剤を飲むことです。

飲んだら安心,というわけではありません。

ちゃんと薬が菌に対して効果があるかを確かめるまで油断できません。

 

抗生剤はいろいろな特徴があります。

薬の強弱やどの菌に対して得意,どこどの部位によく効果がある,

それぞれの特徴を把握して処方します。

 

もし菌が特定できてなければ(*1),

膀胱炎になって初めて処方される

抗生剤の選定基準として,

尿道感染症に効果が高く,

いろいろな菌に幅広く影響を与える薬を

選ぶと思います。

 

同時にその時取れた尿を

細菌培養検査と抗菌薬感受性検査を行うことが多いです。

つまり

尿の中にいる菌の特定と,

その菌がいろいろある抗生剤に対して抵抗があるのか弱いのか,

外の機関に依頼し検査します。

それによって初めて菌が特定できます。

それが分かれば最適な抗生剤を選び処方することが可能です(*1)。

 

初めから最適な抗生剤を処方できればいいのですが,

この結果を得るには1週間程度くらいかかるのが普通です。

 

ですので,とりあえず,広く効果のある薬を

まず初めに出して様子を見るのが

治療のスタンダードな手法となっています。

 

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細菌性膀胱炎1

以前,猫の膀胱炎を紹介した時に

「特発性膀胱炎」について述べました。

猫の膀胱炎は圧倒的に特発性膀胱炎が多いことも書きました。

 

私事ですが,なぜか最近の診察では

細菌が検出されることも多いなぁと。

 

特発性膀胱炎は原因がよくわからない膀胱炎とのべました。

つまり,結石や細菌が検出されなければ

それに当てはまります。

 

診断するためには尿検査が必須です。

そのおしっこをできるだけ綺麗な状態で採取してこなければなりません。

仮に自然に排尿し地面に落ちた尿を取ってきて

顕微鏡で見た時に,細菌がいたとします。

それは尿にいた菌なのか,床にいた菌なのか

わからないですよね。

ですので,

膀胱に針を刺して尿を吸い出す「膀胱穿刺」か

前者より精度は落ちますが,

カテーテルという管をお尻の穴から尿道〜膀胱まで通して尿をとってくる方法「尿道カテーテルを使います。

 

続く

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