法獣医学

法獣医学という言葉を知っていますか。

人の法医学はご存知の方も多いはず。

行うことは人ではなく、動物であるということは

想像に難くないはずです。

しかしその目的や行う理由は人のそれと少し違います。

 

動物の不審な怪我や死をに対し、

なぜそのようになったのか、

どのようにしてそうなったのか、

それが人による虐待なのかを

調べることが法獣医学です。

 

先にお話しした動物愛護法の改正の一つに、

「虐待されていると疑われた動物を発見した場合、

報告することが義務化」されました。

それまでは努力義務でした。

近年、動物の虐待に対する問題が社会的に

重大な意味があるという認識が広がってきたということでしょう。

 

そもそも動物虐待とは

「ある個体に傷害を及ぼす意図的な行為」と定義でき、

世界中で問題となっています。

動物たちに多大な苦痛を与えているにもかかわらず、

「動物虐待」というテーマは研究テーマとしては

注目を浴びることがあまりない分野でした。

メディアでは時々、動物虐待を取り上げたニュースや特集を目にしますが、

実際どの程度動物の虐待が行われているか、わかっていません。

その理由は

獣医師が動物の虐待を認識しいにくい、

ということがあります。

なぜなら大学の獣医学課程において、

虐待による「意図的な傷害」についてどんなものなのか、

学んでいないことも一因と言えるでしょう。

さらに、たとえ虐待を疑う患者がいたとしても、

本当にそうなのか、違うかもしれないと思うと通報を躊躇ってしまうことが

要因として挙げられます。

 

日本では2020年に「日本法獣医学研究会」が立ち上がりました。

これは獣医大学の職員や公務員獣医師、民間の獣医師、刑法の学者によって

創設されました。

団体の目的は、動物虐待に対する研究を深めると共に、

教育の方にも力を入れ、

将来獣医師になる人が大学を卒業したときには、

動物が虐待をうけているかをわかるようになっているようにすることだそうです。

 

続く

 

 

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