猫の心臓病、肥大型心筋症について 2

レントゲン画像から、必ず心臓病がわかるわけではありません。

ですが、猫の心臓病の典型的な形として

バレンタインハートという形状があります。

レントゲンの正面写真、

心臓がハートに見える状態(仰向けVD像)です。
肥大型心筋症の影響で

肺水腫や軽度の胸水が貯留しており、

またそのせいで心臓が見えにくくなります.(VD、ラテラル横向き像より)

 

肺水腫の犬のレントゲン像(ラテラル像)

肺水腫は取り込める酸素が少ないから苦しいため、呼吸の回数が多く、空気をたくさん飲んでしまうために胃にガスが溜まっています。

 

ちなみに

肺水腫と肺の炎症(肺炎)のレントゲン写真像は

似ているため、

レントゲンのみで判断することは難しいです.

確定診断には

他の検査や既往歴、症状などを併せて診断します.

 

時には

「血の混じったピンク色の液体を吐いて倒れていた。」

という猫が運び込まれます。
(これは肺水腫としてはかなり進行している状態で、とても重いです)

 

肥大型心筋症は非常に怖い病気であり、

早期発見がその後の予後を大きく左右します。

 

肺水腫により呼吸困難症状がでているときの治療は

酸素化と利尿剤や強心剤の投与治療が必要となります。

胸水と混ざる人もいらっしゃいますが、

肺水腫は直接針を刺して水を抜くことは

できません.

 

心臓の病気は

いわゆる「健康診断」での検査では引っかかりません.

血液検査でもほぼ判断できません.

(全くないわけではありませんが、特殊検査(オプション)に分類されるものです)

ましてや聴診では早期発見は非常に難しく、

犬に比べて猫ではほぼできません。

 

必要なのは、

レントゲン検査とエコー検査です。

レントゲン検査では心臓の大きさを見ることができます。

エコー検査では、心臓の動きや心臓の筋肉の厚みを

見ることができます。

というのも心臓病は、

心臓という臓器の構造上の異変がもたらす異常です。

であれば直接目で見て、

正常以上に大きくなってないか、

正常像と異なっていないか、

画像で見る以上に確実なものはありません。


日常的に

咳や運動不耐性(運動時にすぐ疲れる、息切れする)などみられた時は

心臓病の可能性がありますので、

血液検査だけでなく、

定期的なレントゲン検査とエコー検査をご検討ください。

 



 

猫の心臓病、肥大型心筋症について

猫の心臓病、肥大型心筋症について

 

猫の死因第4位の話をしようと思います。

猫の死亡原因の順位、

何となく1位、2位、もしかしたら3位くらいなら

猫を飼っている方なら推察できるかもしれません。

 

1位ガン、第2位腎不全、第3猫伝染性腹膜炎

 

聞けば納得なラインナップと思われるかもしれません。

 

猫でも心臓病があることはご存知でしょうか。
実は、心臓病は猫ちゃんの死因第4位です。

 

心臓病と言っても色々な心臓の病気があります。

動物種によって発症しやすい病気は異なります。
犬と猫でも違います。

猫の心臓病で最も多い病気が肥大型心筋症と言います。


肥大型心筋症が進行すると肺水腫による呼吸困難や血栓塞栓症を引き起こし、

亡くなる子が多くなります。

過去に大動脈血栓症でお話しした内容につながります。

心臓が動かなくなってなくなる、というよりは、

心臓の機能低下や異常によって

様々な致死的な病態が引き起こされて亡くなる、

という表現がわかりやすいでしょうか。

 

肥大型心筋症の原因は

加齢とともに発症するもの、

甲状腺機能亢進症などのホルモン疾患から派生して発症するもの(続発性)、
解剖学的に心臓の構造異常から発症するもの(左室流出路障害(SAM))

と様々です。

 

 

 

続く

 

猫の嘔吐〜病院にいついく?〜

透明な液体や白い泡、黄色い液体のようなものを嘔吐した場合、

原因は

  1. 空腹でお腹がすきすぎている
  2. 胃の運動が低下している
  3. ストレス
  4. 誤飲をしている

などが考えられます.

 

白い液体や白い泡は胃液で、

黄色い液体は胆汁を吐いていると考えられます。

しかし

何度も嘔吐を繰り返しているようであれば

動物病院で診察を受けましょう。

生理的な嘔吐の範囲としては週2~3回です。

なので一日に何度も吐き戻す行為は異常と言ってよいでしょう。

 

危険な嘔吐は

何か中毒物質を食べたときや、

口から胃、腸の炎症を起こすとピンクや赤が混じりいます.

 

猫はよく吐く動物ですが、

重大な病気が原因となって嘔吐している場合もあります。

猫が何かを吐いたら吐いたものをすぐに確認するようにしましょう。

 

嘔吐した後に元気がない場合や様子がおかしい場合などは

動物病院で診察するのがよいでしょう。

 

上記のどれか一つでも当てはまれば病院を受診することをお勧めします。

 

 

 

猫の嘔吐〜毛球症〜4

毛玉が引き起こす、猫の毛球症とは

猫の毛球症とは、

飲み込んだ毛の排出がうまくいかず、

胃や腸の中で大きな球状になる状態です。

 

巨大化した毛玉は嘔吐や排泄では排出が難しく、

繰り返しの嘔吐や食欲不振、

便秘やお腹が膨らむ症状などがみられます。

腸閉塞や窒息に繋がる恐れがあり、

外科手術が必要となることもあります。

 

毛球症は、

ブラッシングが不十分なときや腸の動きが悪い時に起こりやすく、

日々の毛玉対策がとても大切です。

特に長毛種の猫は毛球症の発症リスクが高いため、普段から食事管理やブラッシングに気を使いましょう。

 

 

 

猫の嘔吐〜毛球症〜3

受診のサイン

猫の毛玉吐き行動は

ほとんどの場合心配いりません.

しかし、嘔吐という病気のサインを見逃し、

大病を患うことは本末転倒です.

以下に

病院に行こうかな?」、

と一考するに値する

猫の行動を記しました.

そのような様子がみられるときは

注意が必要です。

  • 何度も、繰り返し吐いている
  • 吐こうとしているが何も出ない、または胃液のみ出る
  • 吐いたものに異物が混じっている
  • よく咳込んでいる
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 毛繕いが頻繁になった
  • 毛玉が増えた
  • 下痢・便秘になった
  • 便に大量の毛が混じっている

 

上記の症状がある場合は、

異物の誤食や中毒など、

毛玉以外のトラブルも疑われます.

病気によっては一刻を争う可能性もあるため、

早めに動物病院を相談受診してください。

 

続く

 

猫の嘔吐〜毛球症〜2

吐き出す頻度

ー健全な嘔吐回数、病的嘔吐の回数ー

 

猫によって個体差はありますが、

月に数回ほど

12回ほど、

毛玉を吐く分には心配不要です。

全く吐かない猫もいれば、

短毛種でも長毛種でも

抜け毛が増える換毛期は

1日に数回吐く場合もあります。

 

ただ、激しい嘔吐を繰り返すときは、

食道や胃を痛める心配があります。

吐く頻度が異常に多い、

吐いた後に元気がない、

と感じる場合は、

ブラッシングを増やすなど

毛玉対策を行いましょう。

 

続く

猫の嘔吐〜毛球症〜

愛猫が苦しそうに吐いたたとき、

「何かの病気かもしれない」と不安になる

オーナーは多いはずです.

 

確かに猫はよく吐く生き物ではあります

なぜかというとブラッシングの際に飲み込んだ

毛玉を外に出すためです.

ですので、その嘔吐は特に病気など

危険な兆候ではありません.

しかし、必ずしも嘔吐が問題ないものではありません.

毛を吐く理由と吐き出す頻度について解説します。

 

毛玉を吐く理由

猫が毛玉を吐くのは、

グルーミング時に飲み込んだ毛を

排出するためです。

飲み込んだ毛は便と一緒に排出されることも多いですが、

量が多い場合は胃や腸で固まってしまうため、

毛玉を吐いて外へ出しています。

 

便と嘔吐、

どちらの方法で体外に出そうと問題はなく、

猫の体質や被毛の長さによって排出方法はそれぞれです。

毛玉を吐く行為は

多くの場合は心配不要の生理現象のひとつであり、

猫の健康にとって非常に大切なことなのです。

 

続く